「外国語と母国語の間の翻訳を、人間に代わりコンピュータソフトがしてくれる」
それはコンピュータがまだ普及する以前から数十年来の人類の夢の技術です。「鳥のように空を飛びたい」という夢を、ライト兄弟やその先駆者たちが血のにじむ努力の末実現していったように、自動翻訳ソフトも、研究者や弊社のようなソフト開発メーカーの努力とコンピュータ・ソフト開発の技術の進歩により、少しずつ、しかし着実に、実用化の道をたどっています。

このページでは、20年以上に渡り、自動翻訳・機械翻訳・翻訳ソフト・の歴史と

自動(機械)翻訳ソフトの精度

コンピュータは、人間のように「一般常識」を持たず「行間を読む」ことはできません。そのため、翻訳ソフトの結果の文章には、ぎこちない直訳や誤訳が含まれ、人間の翻訳家の品質にはまだ追いつけません。また、小説のような文芸翻訳はできません。しかし、

  • 人間に比べて、圧倒時に速く、24時間いつでも疲れを知らずに働いてくれる。
  • いったん翻訳ソフトを購入すれば「翻訳料」は不要
  • 特に複数の人間が翻訳したときに起こりがちな、用語や文体のばらつきがない。
  • ソフト内部に数十万〜数百万語の膨大な語数の辞書を持ち、専門分野の辞書を切り替えて使える。
  • セキュリティ上、外部に情報が流出する危険がない。

という利点があり、

  • 英文ホームページなどの大意をつかむ。
  • メールなどでの短い簡単な文を訳す。
  • 部品リストなどの大量の短い定型的な項目を訳す。
  • 大量の文章を下訳して、人間が修正する。

などの目的のための「道具」として活用できる精度に達しています。

自動(機械)翻訳ソフトのしくみ

弊社開発の『訳せ!!ゴマ』を始め、多くの翻訳ソフトは、ソフトウェア内部に、

  • プログラム
  • 例文データベース
  • 辞書データベース
  • 文法ルールデータ

を持ち、以下のようなしくみで翻訳します。

1. 入力された言語の文書を、文に分割します。
2. 例文データベース内を検索し、見つかったら文単位で目的の文に直接置き換えて終了します。
"How are you?"のような決まり切ったあいさつ文のときなどに有効です(「例文翻訳」機能)。
3. 辞書データベース内から「辞書引き」し、単語に分解します。これを「形態素解析」と言います。
4. 文法ルールデータを使って構文や意味を「解析」し、内部的な構造に置き換えます。
5. 語順の違いや冠詞の有無など、必要に応じて内部的な構造を「変換」します。また、文法的な使われ方や前後の語句との係り受けなどを使い、適切な訳語を選択・決定します。
6. 内部的な構造から目的の言語の文を「生成」して出力します。

3.と4.については言語処理ツールのページの例を参照してください。

自動(機械)翻訳の歴史

1950年代末

アメリカで自動翻訳システムの研究が国家予算で始まりました。当初は、ソ連に人工衛星打ち上げで先を越された、いわゆる「スプートニク・ショック」のためのロシア語の情報収集が目的でした。

1960〜1970年代

自動翻訳に否定的な報告書「ALPACレポート」が出て、アメリカでの研究は下火になりましたが、いくつかの会社・研究機関は地道に開発を続けました。それがやがて、コンピュータの性能の進化にも助けられて、日の目を見ることになります。

1984年


朝日新聞の一面トップ記事

ブラビスの世界初のパソコン用日英翻訳ソフト

弊社の前身であるブラビスインターナショナル社が、世界で初めて日英翻訳ソフトの製品化に成功し、朝日新聞の一面トップ記事に「自動翻訳機売り出す」として大々的に取り上げられました。

1980年代後半〜1990年代前半

いくつかの会社が、翻訳ソフトを発売し始めました。当初は「自動翻訳」と呼ばれていましたが、すべて自動的に人間が翻訳するのと同じ精度でできる、という誤解を招くため、「機械翻訳」という言葉で呼ばれることが多くなりました。

1990年代後半

パソコン・Windows・インターネットの普及に伴い、それまで数十万円の価格で一般のお客様向けではなかった翻訳ソフトが、一気に低価格になり、パソコンショップで気軽に買えてだれでも使えるソフトとして売り出されるようになりました。「機械翻訳」という名称も、語感が硬い上に専用の「機械」が必要というイメージがあるため、「翻訳ソフト」と呼ばれるようになり、ソフトの一分野として定着しました。

2000年代

翻訳ソフトを購入して使う時代から、Google翻訳などの大量の例文を利用した多言語のネット上の無料自動翻訳サービスにより、誰でもどこでも自動翻訳が使える時代になりました。
また、辞書の充実などにより機械翻訳の精度も少しずつ上がり、翻訳サービス会社の中に、過去の翻訳結果を例文データベースに入れて利用する「翻訳メモリ」に加え、機械翻訳を一部取り入れることを模索する動きが出て来ました。

2010年代

グローバル化による翻訳全体の需要の拡大とコストダウンの要求と、モバイル端末やスマートフォンなどの新しいデバイスの普及にも伴い、自動翻訳技術に対するニーズはますます高まっています。欧米言語間の翻訳などで、機械翻訳を実際に活用して翻訳の効率化が図られています。

弊社の歴史

翻訳ソフト用の辞書の構築

機械翻訳のメリットの、低コスト・訳語の一貫性を活かし、ポストエディット後に十分な翻訳結果の品質を得るには、システム辞書への単語の登録などの辞書構築が必要となります。
御社の製品名や、独自の用語、専門用語、また特定の表記規則に合わせた訳語など、辞書登録作業を代行、支援いたします。