針ノ木大雪渓

岩場のニッコウキスゲとその向こうにガスのかかっている雪渓
雪渓とニッコウキスゲ・手前はクレバス
所在地 大町市
歩行開始地点(地図)までの所要時間 長野道安曇野IC(旧豊科IC)から約1時間20分または上信越道長野ICから約1時間30分(どちらも「オリンピック道路」経由)
信濃大町駅よりバス40分
最高到達地点の標高 約1845m(針ノ木大雪渓)
参考になるWebページ http://www.kanko-omachi.gr.jp/mountain/trekking.html(大町市観光協会ページ)

針ノ木大雪渓は、白馬しろうま大雪渓・富山県の剱沢つるぎさわ雪渓と共に、日本三大雪渓の一つです。6月第1日曜日の開山祭の頃から登れ、年によって8月まで数メートルの積雪が残っています。より有名な白馬大雪渓ほど幅は広くなく傾斜が急で、登山道も狭いですが、その分登山者は少なくて穴場です。また、白馬大雪渓は雪渓の向こうにお花畑がありますが、針ノ木大雪渓は雪渓の手前の岩場に高山植物が花を付けており、アイゼン(登山靴の底につけるすべり止めの金具)を付けて雪渓を越えなくても、岩場に咲く可憐な花を楽しめます。
また、登山口は、雪の大谷ウォーク・黒部ダムなどの一大観光地、立山黒部アルペンルートの長野県側の起点の「扇沢」駅なので、アクセスも便利です(アルペンルート観光がピークの時は、駐車場などで渋滞しますが)。

アクセス

車(長野道安曇野ICから)

  • 安曇野ICから直進し、「スイス村」を右手に見ながら道なりに進み、重柳交差点を右折
  • 安曇野アートライン〜北アルプスパノラマロード(県道306号・通称「オリンピック道路」)を高瀬川沿いに北上(川沿いなので信号がほとんどなく、快適に走れる)
  • 国道147号との交差点をさらに直進し、突き当たりの「蓮華大橋南」で右折し、蓮華大橋を渡ってすぐ左折
  • 道なりに行き、カナディアンビレッジ先の突き当たりを左折して鹿島大橋を渡る
  • 右手に大町温泉郷を見ながら大町アルペンラインを直進
  • 別荘地帯を通り、山間部を30分ほど走ると、立山黒部アルペンルートの起点、トロリーバス「扇沢」駅に着く
  • 駐車場は、左手手前の砂利の市営駐車場に停めれば無料だが、満車の場合、奥の有料駐車場(1000円)か、観光シーズンでそこも満車の場合は臨時駐車場(無料)に停める

車(上信越道長野ICから)

  • 長野ICから白馬長野オリンピック道路県道31号を白馬方面に行き、「ぽかぽかランド美麻」の先の青具交差点を左折
  • 新行トンネルを越えて少し行った交差点を、木崎湖・稲尾駅方面に右折
  • 突き当たりの稲尾駅前を左折し、木崎湖トンネルを過ぎて次の信号を右折
  • 2つ目の信号を大町温泉郷方面に右折
  • 鹿島大橋を渡ったら上記「車(長野道安曇野ICから)」と同様

バス

信濃大町駅からアルピコバス扇沢線で終点「扇沢駅」まで40分
長野駅からはアルピコバス長野大町線で終点「扇沢」まで1時間45分

コース案内

登山道入り口〜沢水(約1時間)

登山道入り口の標識とゲート
登山道入り口の標識とゲート
右奥がアルペンルートへのトロリーバス乗り場

市営の無料駐車場の奥に近道があり、そこから車道に出て少し登ると、有料駐車場の奥のトロリーバス乗り場左に、一般車が通れない道路へのゲートがあります。ゲートの左側に小さい標識があり、それに従って左に折れて歩き始めます。なお、登山道にはトイレがなく、大沢小屋にも小さなものがあるだけなので、折角の黒部の水を汚さないためにも、あらかじめ済ませておきましょう。
途中何度か、一般車通行禁止の車道を少し歩いたりしながら、赤いペンキの矢印や標識に従って登ります。岩場が多く、丸太で作った階段を登る所もあるので滑らないよう注意してください。林間のきつい登りが多くて夏場は暑いですが、50分ほど我慢して登ると見事なブナの林立する箇所があり、そこから少し行くと右上から沢水が流れています。

沢水〜大沢小屋(約10分)

雪解け水の渓流と緑
雪解け水の沢

沢の渓流は、山の雪や雪渓の雪解け水が、途中で地下の伏流水となってわき出しており、零度近い冷たさです。手や顔を洗うと、生き返る思いがします。まさに「黒部の天然水」です。途中横切る車道が一般車通行禁止で、高額なアルペンルートを利用しないといけないのも、貴重な自然を排気ガスから守るのには役立っています。この美しい森や水を、後世にいつまでも残したいものです。
ここまで来れば、行程の半分以上来たことになり、さらに少し登れば大沢小屋という山小屋に出ます。

大沢小屋〜雪渓(約40分)

小ぎれいな大沢小屋の建物と百瀬慎太郎の碑
大沢小屋

大沢小屋は定員20人の小ささですが、建物は新しく、わざわざ「休憩は無料です」と書いてあり、良心的な山小屋です。雪渓の上を歩いて行きたい人はアイゼンを500円で借してくれます。大沢小屋の入り口の右には、「山を想えば人恋し 人を想えば山恋し」という名句を残した近代登山の先駆者、百瀬慎太郎の碑があります。毎年6月の開山祭は、「針ノ木岳慎太郎祭」と呼ばれ、百瀬慎太郎を偲び、山の安全を祈願するもので、上高地とならぶ北アルプスの2大山岳祭と言われます。
大沢小屋からは、また急な登りがところどころありますが、30〜40分で雪渓が見えて来ます。

雪渓〜登山口(約1時間30分)

シナノナデシコの可憐な紫の花
シナノナデシコの花

まず左側に、蓮華岳赤石沢の雪渓が見え、時期によりその手前に長く細い滝が見えます。右側には、岩場に咲く高山植物の花が見え始めます。奥の大雪渓に近づくにつれ、天然のエアコンの涼風をほほに感じて爽快です。
上の写真ではスケールがわかりにくいですが、雪渓は、広大な渓谷に何メートルもの雪が残っていて、所々巨大なクレバスがあり、その下にごうごうと雪解け水の川が流れています。雪渓の手前で、岩場と渓流を渡りますが、そのあたりには7月〜8月でも山菜が芽を出していて、気温の低さを物語っています。
登山客はさらに雪渓の上を歩いて針の木岳まで登りますが、雪渓を歩くには登山の装備・アイゼン・知識が必須なので、雪渓のへりに腰を下ろして一服したら引き返し、元来た道をたどります。
なお、大沢小屋の下の分岐を右に行くとダム関係者などのための「作業道」で、そちらが近道で道幅も広いのですが、途中細い木の橋を渡ったり木製の梯子を下ったりし、道も間違えやすくて危険なので、一般の登山客には公開されていません。

針ノ木大雪渓トレッキングコース地図
この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平17総使、第250号)

雪渓とは?

雪渓にぼっかり空いたクレバスと手前の岩場の花
針ノ木の雪渓とクレバス
手前は岩場に咲く花

雪渓は、夏でも雪や氷が溶けきらないで残っている谷です。白馬大雪渓・針ノ木大雪渓・剣岳大雪渓(富山県)を日本3大雪渓と呼びます。他にも、信州では、上高地の奥の穂高ほたかの槍沢と涸沢カールや、乗鞍の雪渓が有名です。
雪渓の登山は、クレバスや落石による危険と隣り合わせです。'05年には、白馬大雪渓の上部で土砂と岩が崩落し、登山者が亡くなる痛ましい事故がありました。

クレバスとは?

クレバスは、氷河や雪渓が一部陥没している深い割れ目です。特に、冬山の登山では、新雪に覆われて見えなくなっているヒドン隠れクレバスがあり、時に有名な登山家でさえ命を落とす「死のクレバス」と呼ばれます。

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執筆者:松尾

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